王選後の嫉妬の魔女討伐祝賀会的な時に酔ったスバルがぺろっと問題発言をして、エミリアがマンパワーで怒りをおさめようと「体育館裏来いや」してロズっちが風前の灯火になるやつ。ラインハルトもたぶんこの後龍剣持って現れる

 

 

 

 

 

「ロズっちは知ってたけどなー」

「……ロズワール様が?」

「ん。まあ死なないと戻れないってことまでは知らなかったみたいだけど。知ってたら俺の死亡要因ランキングタイに浮上してたかもしれんね」

「おぉーっと、スバルくん?」

「レムが暴食に食われること知ってて見逃したってときは流石に俺も理性飛んでやらかしちまったけど、あのときガーフィールが止めてくれて良かったわ。ん、ガーフィールだっけ? でもガーフィールって確かラムとまとめてロズワールに殺されて……あ、違うこれその次の周回か?」

「スバルくん、スバルくん聞こえているかい?」

「だいたいさあ、いくら諦めたからって普通わざわざ大兎に食われるか?生きながら食われるのマジで死ぬほど苦しいんだからな。実際死んだし。ロズっちが降らせた雪のせいで俺三回くらい大兎に生きながら食われたんだぞー? 体内ばりむしゃされる感覚とかマジでもう二度と味わいたくねえ……」

「ていうか死亡理由三回にエルザとパックと大兎が並んでるのやばくない? エルザと大兎ほぼほぼロズっちが原因じゃん。俺ロズっちに殺されすぎじゃない?」

 

 酔ったスバルは問題発言だけを残すと、こてんと寝落ちてしまった。床にぶつかる前に、レムの腕がスバルの体を抱き留める。

 レムの膝に頭を乗せる。スバルは何か楽しい夢でも見ているのか、ふくふくと幸せそうに笑っていた。起きている時よりも幾分幼く見える寝顔に微笑むレムに、エミリアが声を掛けた。

 

「レム、スバルをお願いね」

「もちろんです、エミリア様。このレムが、どんな悪夢からもスバルくんを守ってみせます。……エミリア様も、よろしくお願いします」

 

 レムはロズワールのことを恩人だとは思っているが、姉のラムがロズワールを心から愛しているように、レムもスバルのことを心から愛しているのだ。その「よろしくお願いします」には様々な意味が込められていた。

 レムの想いを受け取ったエミリアは、ロズワールへと向き合う。

 

「ロズワール、裏庭で少しお話ししましょう?」

 

 柔らかな鈴のような声が、ロズワールの名前を呼んだ。胸に手を当てながら優しい微笑をその美しい容貌に浮かべる姿は、それだけで一枚の絵になる。その紫紺の瞳に、冷たく熱い炎が見えなければ。

 

「エミリア様、夜の裏庭は危険です。私もお付き合いいたしますよ」

「ありがとう、ユリウス」

 

 聖域で、全員から一発貰ったあの時よりも、ずっと風向きが悪い。ロズワールの視界の端に、桃色の髪をしたメイド服の少女が映る。その手には、救護箱が既に握られていた。ラムは薄紅の瞳を伏せると、ひどく申し訳無さそうに謝罪を口にする。

 

「ロズワール様……ラムはロズワール様を愛していますが、今回ばかりは……庇えません」